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揮発油税の軽減措置、政府が廃止を検討 自民税調幹部「議論これから」


揮発油税の軽減措置、政府が廃止を検討 自民税調幹部「議論これから」 揮発油税軽減措置などの延長を求める県女性連合会の與那覇信子会長(左から2人目)ら=18日、県庁
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2024年5月で期限切れとなる沖縄の日本復帰に伴う復帰特別措置法に基づく揮発油税の軽減措置について、政府が将来的な廃止も含めて見直しを検討していることが8日までに複数の政府関係者への取材で分かった。

 県や経済界は現行制度のままで27年5月までの3年延長を求めており、波紋が広がりそうだ。県経済関係者からは「影響が大きすぎる」と反発と懸念の声が上がっている。

 同軽減措置の3年延長を含む2024年度税制改正や、沖縄関係予算の増額を求める要請のために上京中の池田竹州副知事は8日、記者団の取材に「(廃止による)県民への影響は非常に大きい。経済界とも連携して、継続できるように取り組んでいきたい」と述べた。

 揮発油税の軽減措置は、22年度の税制改正時に2年延長された。この前例を踏襲した場合、軽減措置の適用期間は26年5月までとなるが、それ以降は延長が認められない可能性もある。

 政府関係者によると、22年に復帰から50年の節目を迎えたことを踏まえ、財務省から廃止を求める声が上がっており、自民党税制調査会が軽減措置について廃止も含めて検討する見込み。

 13日以降に開催予定の同沖縄振興調査会(岡田直樹会長)での議論も踏まえ、年末に決定する税制改正大綱に反映するかを党内で協議するという。

 政府が見直しの対象としているのは、復帰特措法に基づく揮発油税と地方揮発油税の軽減措置。現行制度では、国税である揮発油税と地方揮発油税が、特例として1㍑当たり計7円軽減されている。

 この軽減措置を踏まえ、県が石油価格調整税を1㍑当たり1・5円課税し、「石油製品輸送等補助事業」として県内離島への輸送経費補助を実施している。

 揮発油税の軽減措置を巡っては、県経済団体会議(石嶺伝一郎議長)が党税調幹部や松野博一官房長官に3年間の延長を要請してきた。党税調幹部の一人は「議論はこれからだ」と述べるにとどめた。

 石嶺議長は「揮発油税は県民生活と経済の安定という意味では重要な税制だ」と廃止の影響の大きさを指摘し「単純延長してほしい。この一点だ」と無条件で措置が継続されることを切望した。別の経済団体の関係者は「期限を付けることは承服できない」とした上で「県民生活に与える影響が非常に大きい」と疑問を投げ掛けた。

(安里洋輔、謝花史哲)