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沖縄、倉庫業の需要が急拡大 総面積は10年前の1.7倍、冷蔵の容積は2.8倍 コロナ禍からの回復見据えさらに拡充も


沖縄、倉庫業の需要が急拡大 総面積は10年前の1.7倍、冷蔵の容積は2.8倍 コロナ禍からの回復見据えさらに拡充も 琉海ロジスティクスの総合物流センターに整備された冷蔵倉庫=うるま市
この記事を書いた人 Avatar photo 謝花 史哲

 県内で倉庫業の需要が急拡大している。沖縄総合事務局の運輸要覧によると、2022年3月末時点で倉庫業を展開する企業が所有する普通倉庫の総面積は10年前に比べ約1.7倍の15万7091平方メートル、冷蔵倉庫の総容積は約2.8倍の34万9075立方メートルと大幅に拡大した。22年度以降も豊見城市などで大型倉庫の開業が続いた。今後も新規倉庫の完成や着工が計画されるなど、県内ではさらに倉庫業の規模拡充が見込まれている。

 背景に観光客や人口増、大型店舗の開業などがある。沖縄振興開発金融公庫の調査によると、15年のイオンモール沖縄ライカム開業後に冷蔵冷凍倉庫の需要が増加。その後も観光客数は増え続け、2018年から19年にかけて1千万人を突破した。中国や台湾からのインバウンド(訪日客)も伸び、薬や化粧品の需要が増大。関係者によると、ドラッグストアやコンビニの出店数も伸びたことで、食品や日用品などの移入量が増え、倉庫の必要性が高まった。

 増大する県内消費に対応しようと20年以降、物流会社による倉庫建設が加速した。特に不足感のあった冷蔵倉庫は21年3月末時点で前年同時期の23万685立方メートルから34万8634立方メートルと急増。22年3月末時点では34万9075立方メートルとなった。種類別では0~マイナス15度のC級が10万8984立方メートル、マイナス25~55度のF級が24万91立方メートルとそれぞれ拡大している。

 20年以降、新型コロナで観光客が激減し、県経済は停滞したものの、倉庫建設は計画通りに進んだ。22~23年にかけても大型の倉庫の完成が相次ぐなど、コロナ禍からの回復を見据え需要の取り込みを狙う動きが広がっているとみられる。

 17年に設立した琉球海運グループの琉海ロジスティクス(うるま市)は県内では当時少なかった普通、冷蔵、冷凍に対応する総合物流センターを建設し、19年に稼働した。担当者は「コロナ禍でも引き合いは強かった。再び観光客は1千万人になる勢い。県内消費力は高く、倉庫のニーズは高くなっていくだろう」と分析した。

(謝花史哲)