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賃金と物価の「好循環の芽」 日銀那覇12月 景況、「拡大」維持


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この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 日銀那覇支店は20日発表した12月の県内金融経済概況(主要指標10月)で、観光や個人消費が好調に推移していることから「県内景気は拡大基調にある」との判断を2カ月連続で据え置いた。小島亮太支店長は、所得情勢が緩やかに改善し今後も企業収益が増加すれば人手不足対応で賃上げの動きも広がると強調。既に賃上げ原資確保のため価格を引き上げるとの声も聞かれ「賃金と物価の好循環に向けた芽が沖縄でも見られる」と指摘した。


 個別項目では、貸家を中心に新設着工戸数が5カ月連続で増加した住宅投資を「底堅く推移している」、雇用・所得情勢を「所得情勢に改善が見られる下で、緩やかに改善している」にそれぞれ判断を引き上げた。
 10月の主要ホテル客室稼働率は前年比2・2ポイント上昇の69・6%、11月の速報値は63%。前年ほど全国旅行支援の後押しがない中で一定の水準を確保し、同支店は「需要の強さを反映したものだ」と評価。個人消費は関連指標が全て前月を上回り、コロナ下で抑制されていた需要の回復が引き続き期待できるとした。

 目先についても「拡大基調が続くとみられる」と判断している。小島支店長は所得情勢に関して、沖縄は春闘の結果が反映されるタイミングが全国より遅れる傾向があるものの、8~9月にはっきりプラスになったと確認できたと強調。
 物価上昇を加味した実質賃金は、前年比でマイナスの状況にあるものの「あらかじめ従業員に分配するために価格を上げる積極的な動きが広がれば、好循環の広がりが見られると判断できる」と説明した。 

(當山幸都)