日銀は28日、17年ぶりの利上げとなるマイナス金利政策の解除を決めた今月18、19日の金融政策決定会合での「主な意見」を公表した。政策委員からは「金融正常化のスタートラインに立つことが適当」や「異次元の金融緩和から普通の緩和への移行は可能」と解除を求める意見が相次いだ。2%の物価安定目標は「実現が見通せる」との声も多く出た。
米欧のように激しい物価高になるリスクは低いため、マイナス金利解除を決めた場合でも「急速な利上げが必要な状況ではない。慎重な姿勢を強調することが必要だ」と、当面緩和的な環境を維持するよう求める意見もあった。
会合には植田和男総裁と副総裁、審議委員の計9人が政策委員として出席。長期金利を低く抑えるための長短金利操作や上場投資信託(ETF)の新規購入の終了を賛成多数で決めた。
政策委員は、予想を上回る春闘での賃上げや歴史的な高水準の株価を背景に「日本経済は歴史的な変曲点を迎えている」と指摘。2013年に始めた大規模な金融緩和策は「役割を果たした」との見方も示された。
一方で、ある政策委員からは「まだ物価から賃金への好循環が全国レベルで強まっているとは思われない」と政策転換に慎重な意見もあった。会合の採決では、2人の審議委員がマイナス金利解除に反対した。
日銀は長期金利の上昇を抑制するために大量の国債を買い入れてきた。今後は急激な金利の変動を防ぐため、現在と同規模の購入額を維持すべきだが、市場機能改善のため「(買い入れ額を)柔軟に決めていく必要がある」との意見が出た。
(共同通信)