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外国人材 運転手や鉄道に 特定技能、16分野に拡大へ


外国人材 運転手や鉄道に 特定技能、16分野に拡大へ 特定技能の対象分野
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は29日、外国人労働者を中長期的に受け入れる特定技能制度の対象に、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加することを閣議決定した。最長5年働ける特定技能1号の受け入れ対象が16分野に拡大する。公共交通や物流でも人手不足が深刻化し、業界から要望があった。運転手の残業時間規制に伴い、物流が停滞する「2024年問題」の解消にもつなげたい考えだ。
 特定技能の受け入れ見込み数は、24年度から5年間で最大82万人とした。19~23年度の見込み数の2倍超。パブリックコメント(意見公募)後、法務省令の改正などを経て、受け入れを始める。
 閣議決定に先立つ関係閣僚会議で、林芳正官房長官は「受け入れの準備を滞りなく行い、共生社会の実現にも取り組んでほしい」と指示した。
 自動車運送業はバスやタクシー、トラックの運転手で、国土交通省の「運転者職場環境良好度認証制度」で一定基準を満たした事業者のみ、特定技能での受け入れを認める。バスやタクシーは乗客と接する機会が多いとして、他業種より高い日本語能力試験「N3」レベルを要件とする。
 鉄道では、技能実習で現在も受け入れる車両製造や軌道整備などのほか、運転士や車掌、駅員ら運輸係員の業務も対象とする。また、既に特定技能にある製造業分野に縫製や鉄鋼、印刷業務などを加える。縫製では、技能実習で労働問題が相次いだことを受け、業者の参入要件に勤怠管理の電子化などを設けた。
 政府は外国人材受け入れ制度の見直しを進めており、技能実習に代わる新制度「育成就労」を創設する関連法案を今国会に提出している。育成就労と特定技能を一体的に運用し、人手不足が深刻な産業で外国人材を受け入れ、定着を図る。
 小泉龍司法相は29日の記者会見で「特定技能のニーズは今後も高まる。受け入れ環境を丁寧に整備する」と述べた。