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実質成長1%超に 諮問会議 社会保障費抑え


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 政府は2日、経済財政諮問会議を開き、デフレ状況の変化やマイナス金利政策解除など金融政策の転換、人口減を踏まえた新たな成長型経済の在り方を議論した。中長期的に財政健全化と経済成長を両立するためには、人工知能(AI)やデジタル関連の省力化投資などで実質成長率を1%超に引き上げるとともに、社会保障費抑制など歳出改革に取り組む必要があるとの試算を示した。
 岸田文雄首相は会議で「人口減少が本格化する2030年までに持続可能な経済、社会を軌道に乗せる」と述べた。今後3年程度で集中的に取り組む施策をまとめ、6月ごろに策定する経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込む。
 試算では、25~60年度の実質成長率が従来の延長の0・2%程度で推移し、社会保障費の抑制も不十分だと物価変動の影響も含めた名目国内総生産(GDP)は22年度の566兆円から40年度に696兆円、60年度に774兆円までしか拡大せず、財政状況も大きく悪化。しかし成長率を1・7%程度まで引き上げ社会保障費抑制も実現すれば名目GDPは40年に1千兆円を超え、60年には1973兆円に達して財政も好転する。
 そこまでの高成長でなくても成長率が1・2%程度で安定的に推移して社会保障費抑制も一定程度実現すれば、財政は大きくは悪化せず長期的に安定するとした。このケースでは、国債などの残高の対名目GDP比は現状の200%超から60年度に160%台まで低下して安定する。高成長のケースでは120%台まで低下。従来並みのケースでは300%程度まで上昇する。
 試算を受け、諮問会議の民間議員らは、生産性が高い分野に対する集中的な投資や労働移動の円滑化、社会保障の給付・負担の見直しを提言した。