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紅麹菌、発酵期間4倍 小林製薬 サプリ向け難度高く


紅麹菌、発酵期間4倍 小林製薬 サプリ向け難度高く 小林製薬の紅こうじ発酵の仕組み
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小林製薬(大阪市)の「紅こうじ」サプリメントによる健康被害が疑われる問題を巡り、同社がサプリ原料となる紅こうじ菌の発酵で、食品用に比べて4倍の時間をかけていたことが4日、同社関係者への取材で分かった。健康効果があるとされる成分の濃度を高めるため、サプリ用は最長56日間発酵させていた。
 紅こうじ菌の発酵には細かい温度管理が必要とされる。琉球大の橘信二郎准教授(微生物利用学)は「発酵の時間が長いほど、汚染リスクが高くなる」と指摘。サプリの成分向上を狙った長期間の発酵により、製造工程で衛生管理の難度が高まったとみられる。
 紅こうじは、蒸した米に紅こうじ菌を混ぜて発酵させる。特徴的な赤い色は発酵で生まれ、古くから食品に利用されてきた。悪玉コレステロール値を下げるとされる「モナコリンK」といった機能性成分が注目され、近年は健康食品としての利用も広がった。
 発酵期間は用途によって異なり、小林製薬は食品用に2週間程度かけていた。サプリ向けは期間が長かった。健康被害の原因となった可能性が浮上している青カビ由来の「プベルル酸」は、発酵を含む紅こうじ原料の製造工程で混入したり、生成されたりしたとみられる。発酵期間が短い食品用では検出されなかった。
 小林製薬は大阪市淀川区の大阪工場で、2023年に18・5トンの紅こうじ原料を製造した。うち2・4トンを問題の「紅(べに)麹(こうじ)コレステヘルプ」など自社製品に、残りの6・9トンを他社用に販売した。食品向けの9・2トンは全て社外に供給し、着色や風味付けに使用された。