有料

「オワハラ」手口が巧妙化 「後付け推薦状」要求横行 企業の内定学生囲い込み


「オワハラ」手口が巧妙化 「後付け推薦状」要求横行 企業の内定学生囲い込み 「後付け推薦状」の提出を求められた女子学生=12日、東京都内
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 企業が内定を出した学生に就職活動を終わらせるよう迫る「オワハラ」。職業選択の自由を妨げるとして政府も自粛を求めているが、採用の早期化や人材不足を背景に横行する。自由応募なのに選考の最終段階で大学の「後付け推薦状」を求めるなど巧妙化している。
 これまでの推薦状は主に理工系の学校推薦選考に限られていた。5~6年前から見られるようになった「後付け」は、文系の総合職なども対象として「内定を辞退すると学校に迷惑がかかる」と思わせ、内定者を拘束しようとするものだ。
 就職情報会社マイナビが2024年卒の学生に行った調査では、18・3%がオワハラを経験。最も多かったのは後付け推薦状を含む「教授や教員が署名した書類を提出するよう要請された」(5・7%)だった。
 東京都内の私立大4年の女子学生(22)は3月、建設会社の最終面接後に「1週間以内に大学の推薦状を提出し、他社の選考を辞退してください」とのメールを受け取った。「内定辞退が多い会社なのかな」と感じたという。大学は自由応募向けの推薦状は発行しておらず、提出しなかった。その後に内定の連絡があったが、就職活動を続けている。
 大学側も対応に苦慮している。立教大キャリアセンターは昨年、ツイッター(現X)で、企業に向け「やめてください」と題して投稿。「『内々定辞退の抑止力』として推薦状を求めている場合には別の方法をご検討ください。学生・教員の大きな負担となっています」と呼びかけた。
 オワハラの背景には、近年の「売り手市場」で企業が予定する採用数の確保が難しくなっているという事情がある。採用コンサルタントの谷出正直さんは「人材を獲得するには、心理的なプレッシャーより、自社をきちんと理解してもらうことが大事だ」と指摘する。
 オワハラ 「就活終われハラスメント」の略。優秀な学生を囲い込もうと、内定を出した学生に他の企業への就職活動をやめるよう迫る行為。内定を出す際に他社の選考辞退や内定承諾書の提出を求めたり、就活を続けられないよう研修や懇親会で拘束したりする。2015年に「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされた。