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宮城の施設 待遇改善へ「脱福祉」 障がい者の 賃金4倍に


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 知的障害者が働く野菜工場「ソーシャルファーム大崎」(宮城県美里町)は、従業員の月額賃金を、従来の1万8千円ほどから約4倍の7万~8万円に引き上げた。障害者就労施設から一般事業所に移行し、県の最低賃金が適用されたことで実現した。補助金に頼らず、売り上げを増やして収入から賃金を支払う「脱福祉」型の運営により、障害者の待遇改善を目指す。
 3月中旬。周囲を畑に囲まれた真新しいビニールハウスの中で、約10人の従業員が、野菜の苗を栽培用の白い台に丁寧に移していた。作業に取り組む菅原良さん(22)に賃金改定の受け止めを聞くと「今までできなかった貯金をしてみたい」と笑顔で話した。
 施設は元々、雇用契約を結ぶのが困難な障害者に就労機会を提供する「就労継続支援B型事業所」だった。厚生労働省によると、B型事業所は全国で約1万6千カ所(2022年度)。国の障害福祉サービスとの位置付けで、運営費として年間約4800億円の公費が投じられ、従業員の平均月額賃金は約1万6千円(21年度)と低い水準だ。野菜工場は今年3月、障害者の待遇改善に取り組む日本財団の主導で、一般事業所に移行した。