有料

沖縄電力、2年ぶり黒字でも…V字回復は「道半ば」 自己資本比率、前年度を下回る


沖縄電力、2年ぶり黒字でも…V字回復は「道半ば」 自己資本比率、前年度を下回る 沖縄電力のロゴ(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 沖縄電力が30日発表した2023年度連結決算は、経常利益が25億6800万円となり、燃料価格高騰を背景に大幅赤字に転じた22年度決算から2年ぶりに黒字を回復した。ただ、2019年度に36.8%に達していた沖電単体の自己資本比率は、22年度には20.8%まで下落した。23年度決算は黒字を確保できたが、23年度の自己資本比率は22年度より0.4ポイント低い20.4%となった。「V字回復」は「道半ば」と言える。

 具志川発電所の揚炭機損壊に伴う固定資産の除却費約20億円のほか、牧港ガスエンジン発電所や配送電ネットワークなどの設備投資も重なるなどし、利益は当初目指した水準には届かなかった。

 24年度の連結業績は、売上高が23年度比3.8%減の2275億円、経常利益は2.6倍の68億円、純利益は2.1倍の50億円を予想する。本永浩之社長は23年度決算は揚炭機損壊に伴う想定外の費用が響いたとの認識を示した上で「24年度はそういう影響が除去される。予想する利益が出せる体制にグループとして持っていきたい」と述べた。

 24年度の株主への配当金は1株当たり年間20円を予定していると説明。23年度比で2倍になるが、燃料高騰前と比べると3分の1の水準だ。

 同社は22年度決算で毀損(きそん)した財務基盤を回復するため、25年度までを「リカバリー期間」と定め、従来よりも配当水準を引き下げてきた。自己資本比率は、まず25年度に25%台へと回復し、最終的には再び30%以上に戻したい考えだ。本永社長は配当額について「財務基盤の回復と株主還元のバランスを考慮して決定する」と説明した。

 本永社長は4月25日に宮古島市で発生した大規模停電について改めて謝罪し、原因究明と再発防止に取り組むと説明した。「法定点検に加えて、自主点検もしており、細心の注意を払ってきた。経年も考慮して設備の更新、維持管理を適切に実施している」と強調した。財務体質の改善に向けて利益を上積みしつつ、設備の維持管理を抜かりなく行うことは最重要課題で、慎重なバランスが必要となる。

 (島袋良太)