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「看板変わるだけ」 元従業員・顧客、厳しい目


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自動車保険の水増し請求に端を発し、不正検査、街路樹を枯らすなど、さまざまな不祥事が噴出したビッグモーター。伊藤忠商事の下で再スタートを切るが、多くの従業員が残る新会社には「社風は変わらない」と依然厳しい目が向けられる。
 「ビッグモーターイズムをたたき込まれた幹部が残り、看板が変わるだけだ」。関東の店舗に勤務していた30代男性はこぼす。会社の体質に疑問を感じ、上司に逆らったことで退職に追い込まれた。現在は独立して整備士を続けている。不正が相次いだ会社が存続すれば、業界全体への不信感につながりかねないと懸念する。
 ユーザーの目線も厳しい。群馬県の60代男性は以前、水没車と知らずに中古車を購入。検査のためと引き取られたまま3年が過ぎたといい、「従業員は旧経営陣の被害者かもしれないが実行犯でもある。新会社も期待できない」と否定的だ。
 「不正を促すエンジンのような環境があったが、歯止めをかけるブレーキの仕組みはなかった」。調査した国土交通省の担当者は話す。利益重視で給与を上げる半面、厳しい降格人事を繰り返したことが、コンプライアンス(法令順守)意識欠如につながったとみる。
 1日、新会社「WECARS(ウィーカーズ)」の発足会見で、伊藤忠出身の田中慎二郎社長は「胸を張れる会社にしようと従業員にメッセージを発信した。新しい風土をつくっていきたい」と力を込めた。