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能登観光割、年内にも 石川県方針 旅行支援で復興後押し


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震で大きな被害を受けた観光業を支援するため、石川県が半島エリアに特化した旅行割引事業を打ち出し、国に助成を求める方針を固めたことが1日、関係者への取材で分かった。年内開始に向け、観光庁と調整を進める。新潟、富山、福井を含む4県で展開した観光需要の喚起策「北陸応援割」と同じく客足回復を推進。「能登観光割」といった支援策で復興を後押ししたい考えだ。 (3面に関連)
 地震発生から4カ月が経過したが、なお復旧見通しが立たない旅館や観光施設も多く、割引事業の開始時期は慎重な判断が求められそうだ。
 北陸応援割は宿泊旅行の場合、代金を最大半額とした。石川県では7月末まで実施中だが、参加する宿泊施設のほとんどは県中南部。県は半島の宿泊施設を対象とする割引を実施する場合も、北陸応援割と同水準を想定する。馳浩知事は「飲食を含めたクーポンもお願いしたい」と、幅広い業種を支援したい考えだ。
 能登の割引事業の開始は、被害復旧が前提となる。石川県によると、一部施設が営業を再開しているが、復旧や支援に当たる人々の拠点となっているケースが多い。輪島市関係者は「観光客の受け入れはしばらく難しい」と明かす。
 能登半島最大の温泉地、和倉温泉(七尾市)では、宿泊施設が立ち並ぶ海沿いで被害が大きい。和倉温泉旅館協同組合の平野正樹課長は「護岸が崩壊し、復旧を妨げている」と指摘。一般客の本格受け入れには時間がかかると見込む。観光スポットの被害も甚大。「のとじま水族館」は配水管が損傷するなど、開館の見通しが立っていない。
 一部では再開の動きもみられる。断崖が連なる志賀町の観光名所「能登金剛」を巡る遊覧船は、津波で2隻が被災し使えなくなり、残る1隻を大型連休限定で運航する。