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ネット記事に発信元情報 偽情報抑止、来年開始へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 全国の新聞社やテレビ局、IT企業、広告代理店が加盟する団体が、偽情報の拡散を抑止するため、インターネット上の記事や広告に発信元の情報を付ける技術の開発を進めている。ユーザーが発信元を確認して、信頼できる情報かどうかを判断しやすくする。
 この技術は「オリジネーター・プロファイル(OP)」と呼ばれ、記事や広告に、第三者機関が確認した発信元の企業情報やコンテンツの編集方針をひも付け、表示する仕組み。来年、米グーグルの「クローム」などの閲覧ソフトにこの機能を追加できるようにする計画だ。
 ネット上には真偽不明の情報も多い。報道機関の配信記事の見出しや内容を改ざんするケースも発生している。生成人工知能(AI)の技術進化で、コンテンツが真正かどうかを見極めるのが難しくなっている。
 この団体は「OP技術研究組合」で、理事長は「日本のインターネットの父」と呼ばれる村井純・慶応大教授が務める。村井氏は「偽情報の拡散が抑制され、質の高い記事や広告の利用が増えれば、ネット空間の健全性が高まる」と意義を強調する。
 焦点は、この技術が広く利用されるようになるかどうかだ。OP組合はグーグルのほか、米アップルや米マイクロソフトの閲覧ソフトに標準搭載されるようにウェブのルールなどを整備する国際団体での働きかけを強める考えだ。日本政府もこの技術を評価している。ただ「メディアに加え、政府や自治体、フリー記者らの発信にも活用できるようにしないと広がらない」(政府関係者)との指摘もある。