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上場企業3年連続最高益へ 24年3月期 円安、訪日客追い風


上場企業3年連続最高益へ 24年3月期 円安、訪日客追い風 上場企業の純利益合計額
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 上場企業の2024年3月期決算の純利益合計額が前期比15・0%増の47兆9370億円と、3年連続で過去最高になる見通しであることが10日、分かった。外国為替相場の円安基調が自動車を中心とした製造業の業績を押し上げた。訪日客の回復も陸運など非製造業に追い風。25年3月期も過去最高益が見込まれており、増益基調が今後も続く可能性がある。
 東京証券取引所の最上位「プライム市場」の3月期決算企業を中心とした1421社を対象に、SMBC日興証券が集計した。決算を公表済みの企業は実績、それ以外は業績予想に基づいた。25年3月期は前期比0・8%増の48兆3230億円を見込む。
 集計対象全体のうち34・3%に当たる487社が9日までに決算を開示。その純利益合計額は14・8%増の27兆6757億円だった。決算発表は10日にピークを迎えた。来週も発表が続くため、純利益の伸び率などは今後変化する可能性がある。
 9日までの直近集計で、製造業の純利益は23・9%増の15兆5140億円。自動車などの輸送用機器は87・4%増の6兆4134億円で、全体をけん引した。円安効果のほか、半導体不足の緩和で新車生産台数が増えたことも支援材料だった。機械は11・3%増の1兆2403億円だった。
 金融を除く非製造業は3・0%増の11兆1179億円。電気・ガスは料金引き上げ効果で黒字転換し、2兆2660億円を確保した。
 陸運は新型コロナウイルス禍からの客足回復で35・6%増だった。前期が好調だった商社を含む卸売業や海運は反動減となった。
 SMBC日興の安田光チーフ株式ストラテジストは「25年3月期は設備投資の拡大や中国経済の回復による業績拡大が期待されるが、中東情勢の悪化といった下振れリスクもある」と指摘した。