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経常黒字最大25兆円 23年度 自動車輸出伸び


経常黒字最大25兆円 23年度 自動車輸出伸び 経常収支の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 財務省が10日発表した2023年度の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は比較可能な1985年度以降で最大の25兆3390億円だった。資源高が落ち着き輸入額が減少する一方、輸出額は、半導体の供給回復を受けた自動車が伸びて初めて100兆円を超えたことなどから、貿易赤字が大幅に縮小した。
 海外とのモノの取引を示す貿易収支の赤字額は前年度比79・9%減の3兆5725億円だった。輸入額は、原油や石炭、液化天然ガス(LNG)の減少を受け10・3%減の105兆4391億円だった。
 旅行や貨物輸送などのお金の出入りを示すサービス収支は2兆4504億円の赤字。近年は巨大IT企業への広告費支払いなどで赤字が膨らんでいたが、6年ぶりに縮小した。訪日客の増加で、旅行収支が過去最大の4兆2295億円の黒字となったことが大きな要因だ。
 日本企業の海外投資に伴う利子や配当のやりとりの動向を示す第1次所得収支の黒字額は、0・6%増の35兆5312億円だった。海外金利の上昇や円安で配当収入が増加した。
 SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「24年度は原油価格の上昇などで経常黒字が縮小する可能性がある」と指摘する。
 同時に発表された24年3月の経常収支は前年同月比44・0%増となる3兆3988億円の黒字だった。