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連休明け 仕事もう無理… 「退職代行」利用急増 スピード解決が売り 目立つ新卒者


連休明け 仕事もう無理… 「退職代行」利用急増 スピード解決が売り 目立つ新卒者 退職代行のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 会社でのハラスメントや不適切な勤務環境から逃れるため、退職手続きを代行するサービスの利用者が5月の大型連休明けに急増している。人事担当者らと顔を合わせずにスピード決着できる点を売りに、社会に出てわずか1カ月の新卒者からも依頼が殺到。便利さの一方、賃金未払い請求などの法律問題は弁護士のカバー範囲となるなど利用には注意も必要だ。
 「上司のパワハラがひどい」「正社員採用だったのに、契約社員にされた」。2022年創業のアルバトロス(東京)が運営するサービス「退職代行モームリ」には悲痛な相談が相次ぐ。例年、月200人程度だった利用者は今年4月に約1400人へ増加。5月は連休明けの段階で500人を超える勢いだ。
 利用者の6割を20~30代が占め、新卒者も目立つ。「就職説明会ではきらびやかな社風をアピールしていたのに実際はワンマン経営の社長に罵詈(ばり)雑言を浴びせられる」と訴えて1人が辞めた後、さらに複数人が続いた会社もあったという。
 モームリはLINE(ライン)などスマートフォンから申し込みが可能。委任を受けたスタッフが会社側に退職を通告、最短なら即日で話が済む。谷本慎二代表は「苦しい環境で心身を病むくらいなら、早く新天地に移った方が良い。その支えになりたい」と話す。
 退職代行業者は近年、100社以上に増えたとみられる。利用料は2万~5万円程度が相場。労働力不足の「売り手市場」で転職しやすい状況を追い風に、若い世代と旧態依然とした企業のミスマッチの増加も背景に指摘される。
 ただ、退職代行サービスは仲介役に過ぎず、業者に弁護士資格がなければ賃金や労務関係の法律が絡む対応は不可能。無資格での報酬目的の法律事務は弁護士法で「非弁行為」として禁じられている。退職代行サービスも提供するITJ法律事務所(東京)の角地山宗行弁護士は「会社側が未払い賃金を支払わなかったり、退職を拒んだりして『代行業者では解決できなかった』と相談を受けることがある。法的問題に発展するトラブルは、弁護士に相談してほしい」と語る。