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脱炭素盾に原発推進


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田政権は脱炭素社会の実現に向けた新国家戦略「GX(グリーントランスフォーメーション)2040ビジョン」の策定に動き出した。近く議論を始めるエネルギー政策とも連動させ、大量の電力消費に備えた供給力の拡充策を打ち出したい考えだ。GX戦略では過去に原発の積極活用を打ち出しており、脱炭素化を盾に原子力利用をさらに進める思惑がある。
 政府は15日に中長期的なエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」の改定作業に入る。2021年10月に閣議決定した現行計画では、原発を「可能な限り依存度を低減する」と明記。東京電力福島第1原発事故を踏まえた従来の表現を維持してきた。
 その後、岸田政権下で22年12月に決めたGX基本方針では原発の「最大限活用」を掲げ、方針転換が鮮明化した。24年度中をめどに改定する次期基本計画で原子力の位置付けについて、どこまで踏み込むかが焦点となっている。
 今後の産業競争力を左右する人工知能(AI)の利活用や半導体関連の工場では大量に電気を消費する。再生可能エネルギーは天候に左右されるなど安定的な電源として不安が残る中、政府は投資呼び込みのためにも原発の建て替えや新増設を含めた原子力政策の推進が不可欠だと訴える構えだ。