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シャープ堺工場全面停止へ テレビ液晶 国内生産終了


シャープ堺工場全面停止へ テレビ液晶 国内生産終了 シャープの業績
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 シャープは14日、大型液晶パネルを製造する完全子会社の堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)について、9月末までに完全に生産を停止すると発表した。国内メーカーで唯一テレビ向けパネルを製造するSDPの停止で、テレビ用の国内生産がなくなる。同時に公表した2024年3月期連結決算は、純損失が1499億円で2年連続の赤字だった。
 ディスプレー事業は中国メーカーとの価格競争で苦戦し、シャープのシンボルだった堺工場の停止につながった。ディスプレー事業の不振が響き、資産価値を切り下げる減損損失として1223億円を計上した。売上高は前期比8・9%減の2兆3219億円だった。
 SDPは23年3月期に2千億円超の損失を出し、シャープの連結純損益が6年ぶりの赤字に転落する最大の要因となった。取引銀行などが生産の全停止を求め、これまで売却先を探していたが難航。停止後はデータセンターなどに転用して事業転換を進めるほか、インド企業への技術支援も検討している。
 車載やタブレット向けの中小型液晶パネルを生産する亀山工場(三重県亀山市)や三重工場(同県多気町)、白山工場(石川県白山市)のうち、亀山と三重の2工場で生産規模を縮小し、希望退職者を募る方針も示した。
 オンラインで記者会見した呉(ご)柏(はく)勲(くん)社長兼最高経営責任者(CEO)は「堺工場の停止や生産能力の縮小によって、収益改善に取り組み、24年度には黒字化したい」と強調した。シャープは親会社の鴻海精密工業との連携を強化する方針で、人工知能(AI)を活用した事業などに注力するという。距離を測るセンサーなどの半導体事業については今後、事業の売却を進める。
 25年3月期の連結業績予想は売上高が9・6%減の2兆1千億円、純損益が50億円の黒字転換を見込む。