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かりゆしウエア「県外消費」つかんだデザインとは 2年連続で製造増 新たな課題も 沖縄


かりゆしウエア「県外消費」つかんだデザインとは 2年連続で製造増 新たな課題も 沖縄 観光客らでにぎわう国際通り(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 県は14日までに、2023年のかりゆしウエア製造枚数が前年比5%(1万6484枚)増の33万2655枚で、2年連続で増加したと発表した。21年は新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込んだが、翌年から回復し始めた。23年5月の5類移行で外出機会が増えたことで、ビジネス需要が増加した。他に観光客の購買力も影響した。一方で、コロナ禍で熟練工の離職が相次いだことで人手不足が生じ、需要の高まりに生産が追いつかず課題となっているという。

 県衣類縫製品工業組合の美濃えり子事務局長によると、かりゆしウエアは2年に一度買い替える人が多く、23年はコロナ禍が明けての買い替えのタイミングとも重なったという。「23年の冬は暖冬だったので、背広ではなく長袖のかりゆしウエアを選択する人も多く、長袖の売れ行きが好調だった」と説明した。

 かりゆしウエアブランド「MAJUN(マジュン)」を展開する日進商会(糸満市)によると、近年はノーアイロンなど面倒な手入れが必要なく着用できる商品が売れ筋で、県外消費者には私服として利用しやすい小花柄やシンプルな模様が人気だという。

 一方、県縫製組合によると、コロナ前の19年時点で県内の縫製工は約500人だったが、現在は約200人まで減少した。1人当たりの製造枚数は19年の約850枚に対し、23年は約1600枚となる計算だ。美濃事務局長は「裁断や襟の形づくりなどは機械化が進んでいるが、生地によって伸び方やミシンの進むスピードが違うので、人間の感覚に頼る部分が多い」と1人当たりの負担感の増加を懸念した。

 その上で「性能の良いミシンがあれば家でも作業が可能で、一度身につければ一生使える技術だということを売りにして、今後は子育て中の人や若年層にもアプローチしたい」と話した。

 県内で縫製・加工されたかりゆしウエアであることを認定する県衣類縫製品工業組合の下げ札の発行ベースで集計。14年の49万3035枚が過去最高だった。  

(與那覇智早、新垣若菜)