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Bリーグ「推し活」で人気 前季比129万人増 女性の心つかむ


Bリーグ「推し活」で人気 前季比129万人増 女性の心つかむ ブースターと喜びを分かち合う琉球ゴールデンキングスのヴィック・ロー=5月13日、東京都の有明コロシアム(小川昌宏撮影)
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 バスケットボール男子の国内リーグ、Bリーグ(1部、2部)は5月末に終了した2023~24年シーズンの総入場者数が約452万人となり、昨季から約129万人増と大きく伸びた。顕著なのが女性ファンの多さだ。アイドルの「推し活」をほうふつとさせる企画や、屋内の快適な観戦環境で女性の心をつかんでいる。
 5月19日、名古屋市のドルフィンズアリーナで行われた名古屋Dと広島のプレーオフ準決勝第2戦。「ディフェンス、ディフェンス」と、ひいきのチームのユニホームを着た女性客の高い声が響いた。選手の名前入りうちわを持ち込むファンや、選手にレンズを向ける人の姿も。さながらアイドルのコンサートのようだった。
 タオルなど「推し」の選手のグッズを並べて娘と観戦した名古屋Dのファン、山下篤子さん(56)は「声を出して、相手のフリースローを邪魔すると(応援する選手を)私たちが守ったみたいな気持ちになる」と興奮気味に話す。広島から「遠征」してきた谷口奈月さん(27)は推しの選手の応援には「いい服装で髪形もちゃんとして行きたい」と目を輝かせた。
 Bリーグによると、23~24年シーズンは当日券など購入者の性別が不明なケースを除くと、史上最高の52・2%が女性客。50・8%だった22~23年に続き男性を上回った。19年の観戦者のうち37・6%が女性だったサッカーJリーグと比較しても比率の高さは際立つ。Bリーグでマーケティングを担当する田茂井憲執行役員は「女性や若者を取り込みたいリーグとしては今の男女比は理想的」という。
 バスケは女子の競技者が多く、Bリーグはファン獲得策でも当初から女性をターゲットにしてきた。リーグ一の「モテ男」を決めるファン投票は恒例行事として定着。ファンが撮影した写真の交流サイト(SNS)への投稿を認め、推しの選手を広げる活動を後押しする。リーグに興味を持つ人を増やそうと、今季は人気の俳優らの観戦体験を撮影した動画も公開した。
 伊藤由衣さん(32)は今季から来場するようになった一人で「他のスポーツと比べるとハードルが低く、ウエルカムな感じ。選手が近くて、かっこいいシーンが撮れる」とカメラ片手に語る。競技関係者は「寒くない」「日焼けしない」といった屋内スポーツならではの環境も女性に支持される理由とみる。
 東京都内で行われた5月31日のシーズン表彰式に来場したファンは約9割が女性だった。田茂井氏は「長くリーグを見に来ていただけるように、満足度を意識してコンテンツを磨き上げていきたい」と話した。