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「下請け」は差別的? 改名浮上、20年前見送り


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 「パートナー法」?「協力法」?―。買いたたきなどの不当な扱いから中小企業を守る「下請法」の改名案が浮上している。差別的な意味合いが含まれるとの業者側の指摘を受けたものだ。20年ほど前にも一度検討され「利点が少ない」と見送られた経緯があるが、法律を所管する公正取引委員会の担当者は「機運は高まっている」とみる。
 「『下』という言葉を聞くたびに嫌な思いをする」。3月の参院予算委員会で公明党の西田実仁氏は、物価高に伴う適切な価格転嫁について質問する中でこうした中小企業の声を紹介した。「法律名を変えてもいいのではないか」との提案に、岸田文雄首相は「下請け事業者をパートナーと呼ぶ動きが広がっている。幅広く検討していきたい」などと応じた。
 5月には、自民党の中小企業・小規模事業者政策調査会が「『下請け事業者』に代わる用語を検討すべきだ」などと提言。事業者の意識も1956年の法律施行時から大きく変化したとして「『下請け』という言葉はもはや時代遅れだ」と強い言葉で指摘した。
 下請法の正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」。正当な理由がない代金の支払い遅れや買いたたき、納入品の返品などを禁じている。
 政府は、原材料価格の増加分を取引価格に転嫁しやすい環境を整備するための法改正を議論。政府が策定する経済財政運営の指針「骨太方針」案にも盛り込まれ、今後「下請法の改名も議題となる可能性がある」(公取委担当者)という。
 改名計画は2003年の改正時にも浮上した。有識者らでつくる研究会の議題となり、公取委や内閣法制局で検討されたものの実現しなかった。公取委の竹島一彦委員長(当時)は「結果的にメリットよりもデメリットが大きいだろうということになった」と国会で理由を説明している。
 西田氏は「多くの企業は下請け業者を『協力会社』や『パートナー企業』と呼び、『下請け』という言葉を使っていない」と指摘。その上で「改正で重視すべきは内容だが、改名にはインパクトがあり、政府のメッセージも伝わりやすくなる」と意義を強調した。