【ニューヨーク共同】米国でファストフード各社が低価格メニューを相次ぎ投入している。長引く物価上昇でハンバーガーなどが「ぜいたく品」となり、敬遠されつつあるため。だが人件費の高騰が続く中、値下げが定着するかどうかは未知数だ。
ウェンディーズは5月、3ドル(約470円)の朝食セットを始めた。マフィンサンドとフライドポテトで、飲み物は別。マクドナルドは6月後半から終日メニューとしてハンバーガー、ナゲット、ポテト、ドリンクの4品セットで5ドルの商品を投入すると報じられた。バーガーキングも同様のメニューを始めた。
通常の価格はずっと高く、ニューヨークの場合は、どのチェーンでもバーガー、ポテト、ドリンクで最低10ドル程度はする。思い切った値下げで顧客の目を引く狙いだ。
米労働省によると、ファストフード価格は今年4月時点で前年同月比4・8%上昇し、10年間では50%近く上がったとされる。いずれも物価全体の上昇率を上回る。米金融サービス会社レンディングツリーの調査では、米国人の78%がファストフードをぜいたく品と見なし、62%が価格上昇で食べる機会が減ったと答えた。
マクドナルドのケンプチンスキー最高経営責任者(CEO)は「消費者は物価上昇でお金の使い道を吟味しており、業界を圧迫している」と危機感を示す。
ただ、これまでの価格上昇の主な要因である人件費の高騰は収まっていない。低価格メニューが広がるかどうかは見通せず、米経済への波及効果も限られそうだ。
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米ファストフードで低価格メニュー 「ぜいたく品」 顧客離れ受け
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琉球新報朝刊