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不正、赤字に不満噴出 株主総会集中日、670社開催


不正、赤字に不満噴出 株主総会集中日、670社開催 三菱UFJフィナンシャル・グループの株主総会会場の建物に入る人たち=27日午前、東京都港区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 3月期決算企業の定時株主総会が27日、集中日を迎え、約670社が開催した。赤字や不正行為が明らかになった企業には、株主の厳しい視線が注がれ、不満が噴出した。物言う株主と呼ばれる投資ファンドは経営体制の変更などを求める独自の株主提案を提出。提案は否決が目立ったものの強まる株主の経営監視を受け、企業は改めて価値向上や改革を迫られた。
 顧客情報を無断で共有したとして傘下の銀行と証券2社が金融庁から業務改善命令を受けた三菱UFJフィナンシャル・グループは、亀澤宏規社長が「深くおわびする」と謝罪。報酬減額を含めた役員処分を検討する方針を示した。株主からは顧客軽視の姿勢に対する批判や企業統治(ガバナンス)が十分だったかをただす質問が相次いだ。
 スズキの鈴木俊宏社長も、車の大量生産に必要な「型式指定」の認証試験で不正が判明したことを陳謝。シャープの呉柏勲社長兼最高経営責任者(CEO)は2年連続の赤字計上について「誠に申し訳ない」と述べた。
 株主提案では、英投資ファンドのパリサー・キャピタルが京成電鉄に、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド株の一部売却を要求。保有株が京成の事業成長や株主還元に生かされていないと主張した。香港系投資ファンドのオアシス・マネジメントは製紙大手の北越コーポレーションに対し、岸本晢夫社長の解任を求めた。
 いずれの提案も否決されたが、投資家との攻防は注目を集め、企業には圧力となった。アパレルのダイドーリミテッドの総会では大株主の投資ファンド、ストラテジックキャピタルが提案した取締役候補6人のうち3人の選任が可決された。
 6月開催の定時株主総会に関し、三井住友信託銀行の7日時点の集計によると、株主提案を受けたのは91社と過去最多。東証によると、ピーク日の集中率は低下傾向で、今年は約30%だった。