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都市部中心に勢い 全国2.3%増 上昇率最大 路線価 マンション需要、訪日客増


都市部中心に勢い 全国2.3%増 上昇率最大 路線価 マンション需要、訪日客増 路線価の対前年変動率(全国平均)の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2024年分の路線価(1月1日時点)を発表した。全国約31万5千地点の標準宅地の平均変動率は前年比2・3%増となり、3年連続の上昇。現在の計算方法になった10年以降最大の上昇率で、初めて2%を超えた。
 新型コロナウイルス禍からの回復基調が鮮明に出た形だ。マンション需要が手堅く、インバウンド(訪日客)に人気がある都市部を中心に勢いが見られた。主要駅周辺など再開発エリアでも高い上昇率を記録した。一方、地方都市は伸び悩みが目立った。
 都道府県別で上昇したのは29都道府県で、昨年から4増えた。下落は16県で、4減った。
 上昇率トップは5・8%の福岡県。沖縄県(5・6%)、東京都(5・3%)、北海道(5・2%)、宮城県(5・1%)が続いた。下落率が大きかったのは1・0%の和歌山、0・8%の愛媛、いずれも0・7%の富山、鹿児島の各県。栃木、富山、鹿児島の3県は23年分より拡大した。
 都道府県庁所在地の最高路線価は37都市で上昇した。千葉市中央区の千葉駅東口駅前広場が14・9%増で全国1位。同様にさいたま市の地点も上昇率が10%を超えた。
 東京都内では台東区浅草1丁目の雷門通りで前年比16・7%増を記録。インバウンド需要の回復を印象付けた。
 全国の最高価格は、39年連続で東京都中央区銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前にある銀座中央通りだった。1平方メートル当たり4424万円で前年比3・6%増。1万円札1枚当たりの面積で約53万8千円となる。
 今回の路線価に能登半島地震の影響は反映されていない。このため国税庁は路線価とは別に新潟、富山、石川の3県全域で被災状況を反映させる「調整率」を公表。石川県輪島市や同県珠洲市などで税負担を軽減する。
 福島第1原発事故で帰還困難区域に指定された場所は算定困難として価格をゼロとした。