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新紙幣 きょう発行 便乗詐欺に注意 「今までの紙幣ずっと使えます」 


新紙幣 きょう発行 便乗詐欺に注意 「今までの紙幣ずっと使えます」  新紙幣の表面の見本。上から1万円札、5千円札、千円札
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 20年ぶりに全面刷新された新紙幣の流通が3日、始まる。銀行などを通じていよいよ全国の家庭にもお目見えする。楽しみな一方、気を付けたいのが「改刷」にかこつけた犯罪やデマだ。過去にもお札が切り替わるタイミングでは犯罪が多発しており、関係機関は警戒を強めている。
  (1面に関連)

 SNSでデマ拡散

 財務省は、新紙幣の発行に便乗し「旧紙幣が使えなくなる」とうそを言って現金をだまし取る詐欺が増えると警戒している。交流サイト(SNS)上で誤った情報が広がったこともあり「これまでの紙幣も引き続き使用できる」と注意を呼びかけている。
 「1~2年後に今の銀行券は使えなくなる。たんす預金をあぶり出し、誰がいくら持ってるのか(把握するのが)狙い」。今年2月、SNSにこんな投稿があった。
 他のユーザーから「デマだ」との指摘が相次いだが、投稿は拡散した。財務省の担当者は「新紙幣の発行は偽造への抵抗力を高めるためだ。資産を把握することはできない」と説明する。
 日銀によると、発行された紙幣は法令に基づく特別な措置がない限り、使い続けることができる。福沢諭吉や野口英世らの肖像が採用された紙幣だけでなく、聖徳太子の旧1万円札なども法定通貨として使用できる。
 詐欺行為に対抗しようと、長野県警は6月に独自にちらしを作成。銀行員を名乗る人物から電話で新紙幣との交換を持ちかけられたという高齢者に、警察官が「金融機関が紙幣を交換しに来ることはない。第三者にお金を渡さないで」などと注意を促す内容だ。
 県警は自治体にも配布し周知を求めた。担当者は「詐欺の手口は多様化している。先回りの対策が必要だ」と強調した。

 偽札懸念も

 警察庁は、財務省や日銀と連名で、3Dホログラムなどの新紙幣の特徴を記したポスターを作成。偽造が疑われる紙幣を発見した際は、警察へ届け出るよう呼びかけている。
 同庁によると、2023年に見つかった日本円の偽造紙幣は681枚。国際的には少ない水準だが、海外から持ち込まれた事例もあった。また、人々が新しいお札に慣れていない当初は、比較的粗悪な偽札でも見分けが付かない恐れもある。
 警察庁の露木康浩長官は6月の記者会見で「社会や経済の安定を維持するためには、通貨に対する公共の信用が極めて重要だ」と強調。新紙幣発行に便乗した詐欺や偽造への取り締まりを徹底する方針を示している。