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新紙幣発行 20年ぶり 日銀那覇 県内134億円分を用意 偽造防止技術など導入


新紙幣発行 20年ぶり 日銀那覇 県内134億円分を用意 偽造防止技術など導入 各金融機関へ運ぶため、ジュラルミンケースに新紙幣を詰める警備会社の職員ら=3日午前8時15分、那覇市の日本銀行那覇支店(大城直也撮影、画像の一部を加工しています)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日銀は3日、約20年ぶりに図柄を刷新し、最新の偽造防止技術を施した1万円札、5千円札、千円札の3種類の新紙幣を発行した。初日は日銀から金融機関に3種類で計1兆6千億円分(計2億8千万枚)を引き渡した。那覇市おもろまちの日銀那覇支店では午前8時15分ごろ、梱包(こんぽう)された新紙幣が次々と現金輸送車に積まれ、県内各金融機関へと運ばれていった。

 日銀那覇支店によると、3日時点の那覇支店管内で用意した新紙幣は134億円分。順次、旧紙幣と入れ替えていく予定で、20年前の前回は1年かけて流通紙幣の6割程度が新紙幣に入れ替わったという。

 沖縄銀行、琉球銀行の各支店では新紙幣が順次到着するため、4日午後からの取り扱い開始を予定している。沖縄海邦銀行は3日午後から、本店営業部、新都心支店で取り扱いを始めた。

 日銀那覇支店の小島亮太支店長は「偽造通貨を受け取ってしまった場合の損失を未然に防止し、安全な取引を確保する観点から、改刷による偽造抵抗力の強化を実施している。ご理解とご対応をお願いしたい」と呼びかけた。

 1万円札の肖像は福沢諭吉から「日本の資本主義の父」と呼ばれる実業家の渋沢栄一に交代。福沢諭吉は1984年に聖徳太子と交代し、約40年にわたって1万円札の顔だった。

 5千円札は樋口一葉から女性教育の先駆けとなった津田梅子、千円札は野口英世から近代医学の基礎を築いた北里柴三郎にそれぞれ変更する。裏面は1万円札が東京駅丸の内駅舎、5千円札が藤の花、千円札に葛飾北斎の富嶽(ふがく)三十六景「神奈川沖浪裏」を採用した。

 新紙幣は高精細すき入れ(すかし)や肖像の3D画像が回転するように見えるホログラムを世界で初めて取り入れるなど新たな偽造防止技術やユニバーサルデザインなどが導入されている。

 旧紙幣も引き続き使える。日銀は「従来の銀行券が使用できなくなるという誤った情報や詐欺行為などには気をつけてほしい」と注意を喚起した。

(当間詩朗)