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持続可能な農業確立へ 生産者大会 現状訴え国に要請も


持続可能な農業確立へ 生産者大会 現状訴え国に要請も 持続可能な農業経営の確立を訴え、気勢を上げる農家ら=5日、豊見城市立中央公民館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 県内農家らでつくる県生産資材高騰対策本部は5日、県農業政策確立生産者大会を豊見城市立中央公民館で開いた。畜産や園芸など46団体から514人が参加。肥料など資材の価格高騰や生産コストの上昇など農業経営を圧迫する現状を訴え、持続可能な農業政策の確立を求める大会宣言を採択した。同本部は今後、県や国に施策の具体化を図るよう要請する。

 農家の業種を超えて窮状を訴える大会は2008年以来。同本部長の嘉数康雄JA沖縄中央会長は「生産現場は離農や廃業を検討せざるを得ないほど危機的な状況だ。生産者が希望を持ち安心した営農を継続できるよう支援、協力をお願いしたい」とあいさつした。

 情勢報告もあり、沖縄総合事務局が算出した22年の県内農業産出額は890億円で、前年に比べ32億円の減少。それに伴い、生産農業所得も287億円で前年に比べ52億円の減少となった。沖縄振興予算の毎年の減額で農業関係予算も減少し、農家の所得への影響も大きいとして、万全な予算確保の必要性を求めた。

 現場からは、JAおきなわ肉用牛生産振興協議会の荷川取広明会長やJAおきなわ園芸事業協議会の仲直輝会長らが登壇し、円安や飼料高騰など農業経営を巡る不安定さを強調。「将来にわたっての支援を訴えたい」と力を込めた。

 大会に駆けつけた坂本哲志農相は「窮状をしっかり受け止めたい。生産コストに見合わない価格となっている中でどう継続していくのか、皆さんの要望に応える努力をしたい」と述べた。

 要請決議として、(1)生産コスト上昇に対する支援対策(2)農畜産物の適正な価格形成に向けた政策支援(3)持続可能な農業経営安定対策の確立―を図るための早急な取り組みや予算確保、施策の推進を求めた。

 同本部は、7月に玉城デニー知事や県議会、8月に農林水産省や内閣府などへの要請を予定している。 

(新垣若菜)