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G20、巨大IT課税で結束 ルール実現へ共同宣言検討


G20、巨大IT課税で結束 ルール実現へ共同宣言検討 国際課税を巡る状況
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 20カ国・地域(G20)がブラジルで25、26日に開く財務相・中央銀行総裁会議で、巨大IT企業を念頭にした「デジタル課税」や各国共通の法人税の最低税率など国際的な課税ルールの実現に向けた共同宣言を出す検討に入ったことが18日、分かった。IT企業の課税逃れや世界的な法人税率の引き下げ競争を防ぐため結束する。法人税減税に意欲を示すトランプ前米大統領が大統領に返り咲けば、課税強化に向けた国際的な議論が停滞する懸念もあり、ルール作りを急ぐ姿勢を示す。
 国際課税を巡っては国境を越えて事業を展開する多国籍企業への適正な課税が課題となっている。「GAFA」と呼ばれるグーグルなどの米巨大IT企業を念頭に、拠点がない国でもサービスを展開していれば、売り上げに応じて課税できるようにする。今月の財務相・中央銀行総裁会議では、通常の共同声明とは別に税に特化した文書としてまとめ成果をアピールする。日本からは鈴木俊一財務相が出席する方向で調整している。
 議長国のブラジルは富裕層への課税を強化する提言を既に打ち出しており、デジタル課税や法人税の最低税率に加え、第3の柱として取り入れたい考え。新型コロナウイルス禍で拡大した格差の是正や、公正で偏りの少ない課税の実現を意識する。
 デジタル課税は、経済協力開発機構(OECD)を中心に取り組みが進んでいる。2021年10月に約140の国・地域が、実施に向けて多国間条約を結ぶことで合意。当初、23年中の署名を目指したが、対象企業の多い米国で反対論が根強く、半年間延期した。