有料

小林製薬 トップ辞任へ 会長と社長 紅こうじ対応で引責か


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 紅こうじサプリメントとの関連が疑われる健康被害が起きた小林製薬の小林一雅会長(84)と小林章浩社長(53)が辞任する方針を固めたことが22日、分かった。23日にも開く取締役会で決める見通し。後任の社長には山根聡専務(64)を充てることで調整している。被害把握から公表まで約2カ月かかった対応に批判が出ており、創業家出身の経営トップ2人が責任を取る形で、一線から身を引くことになった。
 小林製薬の対応については外部の委員で構成する「事実検証委員会」が調査しており、公表遅れによる幹部の経営責任を認定するかどうかが注目されていた。22日で発覚から4カ月となった。
 小林製薬は1月15日に医師からの報告で健康被害を把握したが、原因物質の特定などを優先して3月22日まで公表しなかった。サプリの原料からは青カビ由来の物質「プベルル酸」が検出され、健康被害の症例の一つに挙げられる腎障害との関連が指摘されている。
 4月に設置した検証委は公表遅れの原因や製造過程の管理体制、内部統制システムについて調査。委員を務めるのはいずれも弁護士で、貝阿弥誠氏、北田幹直氏、西垣建剛氏。客観性を担保するため一雅会長、長男の章浩社長、山根専務の3人は検証に加わらず、外部取締役4人が担う。
 小林製薬は発覚当初の3月、腎疾患と関連が疑われる死者は5人と発表。しかし6月、腎疾患以外の症例も調査対象にする方針に転換した結果、因果関係の調査が必要な死亡疑い事例が当初発表分を含めると計100人となった。医療機関を受診した人は延べ2千人以上だ。
 情報開示が後手の小林製薬に対し、武見敬三厚生労働相は「直接、進捗(しんちょく)を管理する」と発言、不信感をあらわにしていた。