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原発建設費 電気代上乗せ 電力会社支援案が浮上 負担増に反発必至


原発建設費 電気代上乗せ 電力会社支援案が浮上 負担増に反発必至 原発建設費の電気料金上乗せ案のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 原発の新増設の建設費を電気料金に上乗せできるようにする支援制度案が政府内で浮上していることが24日分かった。東京電力福島第1原発事故を踏まえた安全対策などで巨額となる電力会社の投資の回収見通しを立てやすくし、建設を後押しする狙いがある。経済産業省は具体的な制度設計の検討に入るが、電気料金には既に再生可能エネルギー普及のための賦課金が上乗せされており、国民負担のさらなる増大に反発は必至だ。
 政府が参考にするのは英国の支援策「RABモデル」。国が認可した原発の建設が始まった時点で建設費や維持費などを電気事業者の小売会社が負担し、電気料金に組み込んで回収する仕組みだ。建設費が当初計画より増えた場合でも必要経費と認められれば、料金に転嫁できるという。
 政府が2024年度内をめどにまとめる中長期的なエネルギー政策の指針「エネルギー基本計画」の改定に向けた議論でも、RABモデルの導入を求める声が上がっている。
 背景には原発投資を促して安定的な電源を確保し、データセンターの新設などで増加見込みの電力需要を賄いたい思惑がある。
 政府は大規模発電所の新設や更新を対象に、原則20年間にわたり固定費相当を保証する制度「長期脱炭素電源オークション」を今年開始。規制強化により投資額が上振れる分は対象外となる可能性があり、原発の建設には不向きだとの指摘が出ている。
 一方、原発の「最大限活用」を打ち出した岸田政権は支持率の低迷が続き、一部では原発再稼働への反対も根強い。原発の新増設に加え、電気料金の値上がりにつながる建設費上乗せ案の議論は曲折が予想される。