ホンダ現地生産減へ　日本企業、中国離れ鮮明

　日本企業の中国離れや事業縮小の動きが鮮明化してきた。ホンダは２５日、中国で自動車の生産能力を初めて減らすと明らかにした。現地電気自動車（ＥＶ）メーカーの供給過剰による値下げ競争が激化し、ガソリン車中心の日本メーカーの販売は低迷。鉄や素材など関連産業でも生産体制見直しの動きが相次ぎ、巨大市場を巡る各社の戦略は転換点を迎えた。
　中国では政府の支援もあり、現地ＥＶメーカーの比亜迪（ＢＹＤ）などが販売を伸ばし、ＥＶで出遅れた日本勢は販売台数の減少が目立つ。これまでに三菱自動車が中国での車両生産から撤退し、日産自動車も現地の一部工場を閉鎖。マツダは複数あった現地の系列販売網を集約した。トヨタ自動車は価格競争の激化で足元の販売台数を減らしているものの、現地の生産に関する今後の方針は公表していない。
　中国で国内自動車メーカーに鋼材を供給してきた日本製鉄は２３日、中国鉄鋼大手の宝山鋼鉄との合弁事業の解消を発表した。日本メーカーの苦戦を背景に成長が見込めないと判断したとみられる。帝人は新型コロナウイルス禍の混乱で業績が悪化した車向け素材を担う中国子会社を売却した。
　ホンダは中国で現在、年間１４９万台の生産能力を持つが、そのうちガソリン車を中心に２９万台分を減らす。現地合弁の「広汽本田汽車」と「東風本田汽車」のそれぞれ１工場で生産を停止する方針だ。ＥＶ生産は今後２４万台増やす計画で、全体では５万台減少する。