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G20、巨大IT課税促す 財務相、3会合ぶり声明


G20、巨大IT課税促す 財務相、3会合ぶり声明 ブラジル・リオデジャネイロで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後、記者会見する鈴木財務相=26日
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【リオデジャネイロ共同=飯田裕太、建部佑介】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は26日(日本時間27日)、ブラジル・リオデジャネイロで2日間の討議を終えて閉幕した。巨大IT企業を念頭に置いたデジタル課税の実現を促すことを盛り込んだ国際課税の宣言を初公表し、3会合ぶりに共同声明を採択。世界経済が景気後退を避けつつ物価上昇を抑える「軟着陸の可能性が高まっている」との認識で一致した。一方でインフレ長期化のリスクも指摘した。
 国際課税の宣言文書では、デジタル課税について「できるだけ早期に(実施に向けた)多国間条約の署名が可能になるよう促す」と明記した。署名の期限は示せなかった。今年2月の議長総括では6月末までの署名を目指すとしていたが、先送りされている。
 デジタル課税は事業拠点がない国や地域も、利用者がいれば売上高に応じて法人税を受け取れるようにする。11月の米大統領選で減税姿勢を示すトランプ前大統領が返り咲けば、国際的な議論が停滞する懸念もある。
 宣言では、議長国ブラジルが提案する富裕層課税について「主権を十分に尊重し、超富裕層が効果的に課税されるよう協力して取り組む」とした。宣言に関し、鈴木俊一財務相は閉幕後の記者会見で「G20として初めての文書で評価する」と述べた。
 共同声明では、世界経済の下振れリスクについて戦争や紛争、高金利につながるインフレの長期化などを挙げた。為替相場は、過度な変動が経済に悪影響を与えるとの過去の合意を再確認した。
ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザの情勢については共同声明に盛り込めず、ブラジルが別に議長声明を公表。「世界経済に影響を与えており、G20で扱われるべきだ」と複数国が認識していると明らかにした。