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主食用米、在庫減少 猛暑で品質低下、高値懸念


主食用米、在庫減少 猛暑で品質低下、高値懸念 コメ民間在庫量の推移と相対取引価格
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 農林水産省が30日発表した2024年6月末時点の主食用米の民間在庫量(速報値)は前年から約2割(41万トン)減の156万トンで、統計を取り始めた1999年以降で過去最少となった。23年産米の高温障害の影響や消費回復が背景にある。今年も昨夏同様の猛暑が続けば、品質の低下で流通量が落ち込む懸念もあり、在庫減少が長引くと高値につながる可能性もある。需要はインバウンド(訪日客)消費がけん引し10年ぶりに増加に転じた。
 JAグループなどが業者に卸す際の「相対取引価格」は23年産米(平均)で60キロ当たり1万5307円に上昇し19年産以来の高値となっている。24年6月は1万5865円まで上がったが、農水省は今後24年産米の流通が本格化するとして「需給は逼迫(ひっぱく)していない」と強調している。
 国内需要は人口減少などのため最近では、年10万トンほど減少してきた。24年6月まで1年間の需要実績(速報値)は前年から11万トン増の702万トンとプラスに転じた。パンや麺類と比べて価格上昇が抑えられ「値頃感」があったことも原因だと説明している。
 今後の見通しは25年6月末の在庫量が微減の152万トンで、25年6月まで1年間の需要量は29万トン減の673万トン。24年産米の収穫量次第で大きく変わる可能性がある。23年産は猛暑の影響で1等米の比率が下がり、精米時の歩留まり(良品率)が低かった。結果として流通量が減り、民間在庫の減少にも影響した。
 農水省は24年産の主食用米の作付面積(6月末時点)に関し、都道府県別の意向調査結果も発表した。前年実績より1%超増加すると回答したのは北海道や千葉など16道県で、昨年6月末の2県(福島、栃木)から大幅に拡大した。産地が米価や在庫水準などを基に需要が高まっていると判断したとみられる。
 一方、前年より1%超減少すると答えたのは、兵庫や福岡など西日本を中心に13府県で、前年並みは、岩手や新潟など18都府県だった。