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「ドラッグロス」解消へ 政府 創薬を基幹産業へ推進


「ドラッグロス」解消へ 政府 創薬を基幹産業へ推進 創薬力向上に向けた政府工程表のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は30日、創薬力向上につなげるため、国内外の関係者を集めた会議「創薬エコシステムサミット」を首相官邸などで開いた。海外の薬が日本で実用化されない「ドラッグロス」を解消するため、国内未承認薬のうち必要性が高いと判断した薬について、2026年度までの開発着手を目指すとの工程表を示した。
 岸田文雄首相は、医薬品産業に関し「国の今後の成長を担う基幹産業となるよう強力に施策を推進したい」と表明した。
 欧米で承認され、日本で開発未着手の薬は86品目ある。希少疾患や子どもの薬が中心で、海外新興企業が手がけているものの割合が大きい。
 工程表では、24~28年度の5年間で、子どもの薬の開発計画を計50件にし、希少疾患の薬の承認も計150件にするとの目標を掲げた。
 21年に100件ほどだった国際共同治験の計画の届け出件数を、28年に150件に増やすことも目指す。創薬の新興企業への民間投資額を2倍にすることなども盛り込んだ。臨床試験の実施体制整備や、研究成果を実用化につなげるため早期からの切れ目ない支援の環境づくりにも取り組む。
 海外の出席者からは、医薬品の公定価格「薬価」の制度に「極端な低価格では企業は撤退せざるを得ない」といった厳しい意見も出た。