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失業率悪化に悲観論 AI投資ブームに陰りも


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ニューヨーク共同】2日の米株式市場で、ダウ工業株30種平均が大幅下落したのは、7月の米国の失業率が市場の想定を上回って悪化し、景気に対する悲観論が台頭したためだ。最近の上昇相場をけん引してきた人工知能(AI)関連の銘柄への投資ブームにも陰りが見え始めた。
 「AIによる(巨大IT企業の)収益の急増は終わりを迎えつつある。想定を超える失業率の上昇も米経済失速の懸念を増大させた」。米国みずほ証券チーフUSエコノミストのスティーブン・リチウト氏は株価急落の要因を指摘した。
 ダウやハイテク株主体のナスダック総合指数といった主要な米株価指数は7月に、終値の過去最高値を何度も更新した。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの開始期待や、AI関連銘柄への資金流入が相場を押し上げた。
 しかし、8月1日に発表された製造業の景況感を示す指標の結果が振るわず、米景気に対する楽観ムードは一変。2日の低調な雇用統計が投資家心理の悪化に拍車をかけ、業績が振るわなかった一部ハイテク関連の銘柄に売りが殺到。1日からの株安は日本や欧州など世界中に広がった。
 7月の失業率など雇用統計の悪化を受けて、市場参加者はFRBが9月に0・25%か通常の2倍となる0・5%の利下げを実施すると見込む。FRBは7月に政策金利を据え置いており、市場では利下げ開始が遅すぎるとの声も強まっている。米ピーターソン国際経済研究所のハフバウアー上席研究員は「当面の株式市場を楽観するのは難しい」と語った。