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正常化に前向き意見 株暴落、一転慎重姿勢に 日銀、7月の金融政策決定会合


正常化に前向き意見 株暴落、一転慎重姿勢に 日銀、7月の金融政策決定会合 日銀の金融政策と市場の動き
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日銀の金融正常化への道筋が険しさを増している。追加利上げを決めた7月の金融政策決定会合では、さらなる政策金利の引き上げに意欲的だったが、その後の円高進行と米景気減速の懸念で日経平均株価は史上最大の下落幅を記録。内田真一副総裁は今月7日の講演で「金融資本市場が不安定な状況で利上げすることはない」と述べ、当面は利上げしない慎重姿勢に一転し、軌道修正を迫られた。
 日銀が8日公表した7月会合の「主な意見」では、2025年度後半に向け「適時かつ段階的に利上げしていく必要がある」との政策委員の声があった。消費者物価の上昇率が日銀の見通しに沿えば「金融緩和の一段の調整を進めることが必要だ」との発言もあり、正常化に前向きな意見が目立った。
 会合後に記者会見した植田和男総裁は、年内にさらに利上げする可能性を排除しなかった。市場では早ければ10月会合で再び利上げするとの見方が浮上し、外国為替市場の円相場は対ドルで急上昇した。
 ただ、日銀にとって想定外だったとみられるのが、米国の景気後退懸念に対する市場の反応だ。8月1、2日に発表された米国の経済指標は市場予想よりも軒並み大幅に悪化。投資家はリスク回避に向かって急速に株を手放し、円高進行も重なって5日の日経平均株価終値の下げ幅は前週末比4451円と過去最大となった。内田副総裁は7日の講演で、株価の変動は「政策運営上、重要な要素だ」と強調。その後の記者会見で金融市場の乱高下は「(経済の)下振れリスクであることは明白だ」と指摘した。