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上場企業の純利益最高 4~6月、円安が追い風 米景気懸念、先行き見えず


上場企業の純利益最高 4~6月、円安が追い風 米景気懸念、先行き見えず 主な業種別の純利益の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東京証券取引所に上場する企業の4~6月期決算発表が9日、ピークを迎えた。SMBC日興証券が最上位「プライム市場」に上場する3月期決算企業を中心に8日時点で集計したところ、純利益の合計は前年同期比7・4%増の12兆9840億円に上り、4~6月期として過去最高水準となる見通しだ。円安を追い風に輸出企業が好調だった。2025年3月期も4年連続で最高となる見込みだが、円高基調や米景気減速懸念を背景に先行きは見通しづらい。
 SMBC日興が、8日までに開示された全体の7割強に当たる1042社を集計した。25年3月期の純利益予想は企業の業績見通しなどを基に算出し、前期比1・2%増となった。
 製造業の4~6月期純利益は前年同期比4・7%増の計6兆4326億円。円安進行で自動車など輸送用機器は2・9%増の2兆4110億円となり、全体をけん引した。機械が12・9%増の4902億円、電機が13・7%増の1兆2703億円だった。電機は中国経済の持ち直しで電子部品が堅調だった。機械は設備投資の需要が強かった。化学は半導体市況の回復を受け、22・8%の増益だった。
 非製造業は4・7%増の計4兆3910億円。陸運は訪日客需要の高まりで24・7%増、海運は運賃コストの上昇により44・3%増となった。一方、電気・ガスは、好調だった前年の反動で41・0%の大幅減益だった。
 これとは別に銀行は19・7%増の1兆6612億円。日銀のマイナス金利解除を背景に利ざやが改善した。
 SMBC日興の安田光チーフ株式ストラテジストは企業業績の動向について「為替が過度な円高になると厳しく、グローバルな景況感も鍵だ」と指摘した。