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景気拡大予想10ポイント減72% 主要111社 円安、物価高を懸念 共同通信アンケート


景気拡大予想10ポイント減72% 主要111社 円安、物価高を懸念 共同通信アンケート 今後1年の国内景気見通し
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 共同通信社は10日、主要企業111社に実施したアンケートをまとめた。今後1年間の景気動向について「拡大」「緩やかに拡大」と予想する企業は計72%で、前年夏のアンケートの82%から10ポイント減少した。「横ばい」や「緩やかに後退」との回答は計23%で、前年夏の15%から8ポイント増加。個人消費の回復への期待が続いた一方、円安や物価高が景気の足かせになると懸念している状況が浮き彫りになった。
 さらに、アンケート実施後には日銀の追加利上げと米国の景気減速懸念を背景に株式市場と為替市場で動揺が広がっている。消費マインドに水を差すなど影響が実体経済にも波及すれば、企業の景況感を一段と下押しする可能性もある。
 景気拡大を見込む理由を複数回答で尋ねたところ、「個人消費の回復」が84%で前年夏と同じく最も多かった。「設備投資の回復」が79%、「訪日客消費の拡大」が53%だった。逆に横ばいや後退の理由は「個人消費の低迷」が64%と最多で、「円安の悪影響」と「物価上昇の悪影響」が48%で続いた。
 また70%の企業は、自社の業績見通しが拡大傾向にあると答えた。国内景気の現状に関しては、54%が「緩やかに拡大」していると答え、43%が「横ばい」とした。
 物価と賃金の動向では、製品やサービスの価格を今後1年間で引き上げると答えた企業が42%に上る一方、2025年春闘での賃上げ方針は76%が未定と回答した。
 岸田政権に特に実現を求める政策は「少子高齢化対策」が35%、「円安・物価高対策」が34%だった。自由記述では経済成長を促す規制改革を求める意見が目立った。
 経済安全保障の観点も踏まえて設備投資や研究開発投資、営業拠点整備を重点的に進めたい国や地域は、日本国内が58%で最多。国外では北米の35%、東南アジアの32%が多い一方、中国は6%にとどまった。中国事業を拡大する方針の企業は10%で、縮小方針の9%とほぼ同率だった。事業規模を維持するとの回答は40%に上った。
 アンケートは、各業界を代表する企業に7月中旬から8月初旬にかけて実施した。