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ゼンリン、住民避難を「見える化」 デジタル地図に表示


ゼンリン、住民避難を「見える化」 デジタル地図に表示 避難所支援システムのイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 地図大手ゼンリンが、災害時に自治体の避難所運営を支援するシステムを開発した。デジタル技術を活用することで、避難者の入退所といった情報をデジタル地図上に「見える化」するのが特徴だ。3月から秋田県横手市で本格運用を開始。地図大手の強みを生かし、全国の自治体への導入を目指す。
 災害が発生した場合、自治体は住民の避難状況を正確に把握した上で、災害対策本部と情報を伝え合い、避難遅れの住民を支援するといった対応が欠かせない。今は避難所で紙に記入してもらったり、災害対策本部へFAX送信したりするアナログな運用が主流で、情報共有の遅れや職員の負担の重さが課題だ。
 ゼンリンが開発したシステムは、避難してきた人のマイナンバーカードや運転免許証を専用カメラで読み取るだけで、氏名や住所といったデータが、自治体の住民情報とひも付けられる仕組み。自治体職員が住民から聞き取った妊娠や障害の有無といった情報もまと
めて管理することが可能だ。
 避難所で集めた情報はデジタル地図上に表示することができ、避難状況の把握に役立つ。情報を分析することで、年齢層や男女比に応じて必要な救援物資を素早く届けられるようになるという。
 国は頻発する自然災害に対応するため、デジタル技術を駆使した防災に取り組んでいる。ゼンリンは国の補助金を利用して開発を進めてきた。担当者は「住民の避難や自治体職員の災害対応の一助になればうれしい」と語った。