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「日本酒NO.1に」「ライチョウ保護」 返礼なくても寄付1億円 長野「共感呼ぶ事業」奏功


「日本酒NO.1に」「ライチョウ保護」 返礼なくても寄付1億円 長野「共感呼ぶ事業」奏功 長野県のふるさと納税実績
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「長野県の日本酒の品質を全国№1に」「ライチョウを救う」。あえて返礼品を設けず、県の取り組みを応援できるふるさと納税が好調だ。2023年4月開始以降、県への寄付額は23年度実績で1億円を突破。返礼品付きも含めた同時期の寄付全体の10%超を占めた。県は「納税者の共感を呼ぶ事業」(担当者)が奏功したと分析する。
 県直営のふるさと納税サイト「ガチなが」。本気を意味する若者言葉と組み合わせ、長野を良くしたいとの思いを込めた。酒造りに携わる若手育成▽国の特別天然記念物で絶滅危惧種のライチョウ保護▽返済不要の給付型奨学金―といった県の事業メニューが並ぶ。
 ユーザーはサイト上でコメントを投稿できる他、県が提供する写真や動画から事業の進捗(しんちょく)状況を把握できる。双方向のコミュニケーションを重視し、一体感を得られるよう工夫した。
 きっかけは、寄付獲得に起因した地方自治体間の返礼品競争の過熱だ。返礼品を扱う仲介サイトへの手数料負担も大きく、ふるさと納税制度の本来の趣旨「古里への貢献」に沿った運用を図ろうと検討を進めた。
 県によると、23年度の寄付総額は10億8972万円で、うち9億7125万円が返礼品付きだった。返礼品なしの1億1846万円は、47都道府県が22年度にそれぞれ集めた寄付額と比べても全国20位ほどに相当するという。阿部守一知事は「県に愛着を持っている方が全国にいる証しだ」と胸を張る。
 一方、県は地場産品の普及の観点から、返礼品付きのふるさと納税を維持する方針だ。