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批判と評価交錯/経済活性化へ課題


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党総裁選への不出馬を表明した岸田文雄首相の経済政策を巡っては、賃上げや物価高対応などで専門家の評価や批判が入り交じった。経済の活性化に向け、中小企業支援といった今後の課題を指摘する声もあった。
 「物価高による消費者の生活不安を拭えなかった」。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は語る。今年の春闘では歴史的な高水準を達成。日経平均株価も史上最高値を付けたが、物価高が長期化し「国民感情が付いて行かなかった」との見方を示した。
 SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは「少子化対策や資産運用立国などを具体化した点は評価できる」としたが、賃上げは物価の上昇率に追い付かなかったとも指摘。岸田氏は政策の策定過程で「聞く力」を重視したが、世論との溝が埋められなかったと分析した。
 みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストは働く人の学び直しを進めた「人への投資」を評価する。一方で、継続的な賃上げには企業の生産性向上が必要だと強調。「地方経済を下支えできるかどうかも課題だ」とした。