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小売業「礼拝室」設置進む イスラム訪日客増え対応


小売業「礼拝室」設置進む イスラム訪日客増え対応 百貨店「松屋銀座」の礼拝室の前に立つ、マレーシアから訪日した女性=7月、東京・銀座
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 円安でイスラム教徒の訪日客が増えているのを背景に、百貨店やショッピングセンターが「礼拝室」の設置を進めている。イスラム圏からの来客は今後も増加が予想されており、小売業界では「トイレや授乳室と同様、必要なインフラと認識している。関係者が協力して整備する必要がある」という声が出ている。
 東京・銀座の目抜き通りにある百貨店「松屋銀座」。礼拝室の扉には「PRAYER ROOM」と掲示され、時間帯によって部屋の前で順番を待つ人々の姿が見られた。
 礼拝室に入ると右側には礼拝の前に体を清めるための足洗い場がある。奥には、祈りをささげる場所として数人分のマットが敷かれている。
 マレーシアから訪日した女性(30)は、入国前にネットでこの場所を見つけたという。「銀座という都会の真ん中で祈りの場所を見つけるのは大変。ありがたい」と話した。
 礼拝は通常1日5回で、旅行中は3回などに減らせる。ただ、行き先に礼拝室がないと宿泊場所などに一度戻らなければならず、移動の幅が狭まるという。
 イオンモールは運営する千葉、神奈川、愛知、広島、沖縄の5県にある計7店舗に整備。訪日客の急増を理由に、他店にも拡大を検討している。
 政府観光局によると、イスラム教徒の割合が比較的高いマレーシアやインドネシア、トルコからの訪日客は2023年には87万人を超え、10年前と比較して約2.7倍に増加した。