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GDP改善 年3.1%増 4~6月 個人消費、設備投資回復


GDP改善 年3.1%増 4~6月 個人消費、設備投資回復 実質GDP成長率の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 内閣府が15日発表した2024年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動を除く実質で前期比0・8%増、年率換算は3・1%増となり、2四半期ぶりのプラス成長だった。認証不正問題で停止した自動車生産の再開が進んだことで、個人消費や設備投資が回復した。
 物価高が長引く中、物価変動を含めた名目GDPは前期比1・8%増、年率換算は7・4%増となった。額は607兆円で、初めて600兆円を超えた。岸田文雄首相は「賃上げと投資がけん引する成長型経済への移行を示す数字だ」と官邸で記者団に述べた。
 名目GDPを巡っては、15年に安倍晋三元首相が「強い経済」などを掲げて600兆円を実現する目標を示したが、500兆円台が続いた。今年2月の内閣府の分析では23年のドル換算値でドイツに抜かれて世界4位に転落。首位は米国で、2位は中国だった。
 24年4~6月期を実質ベースで項目別に見ると、個人消費は自動車が購入しやすくなったことで1・0%増となった。23年1~3月期以来5四半期ぶりのプラス。衣服や外食、エアコンへの支出も増えた一方、値上げが目立つ野菜への支出は減った。
 設備投資は0・9%増で、商用車などの購入が増えた。輸出は自動車の生産再開が寄与して1・4%増、輸入は電子計算機が目立ち1・7%増だった。
 働く人の賃金などの総額を示す雇用者報酬は実質で前年同期比0・8%増となり、21年7~9月期以来11四半期ぶりにプラスに転じた。好調だった今年の春闘の結果が賃金に反映され始めたことが効いたようだ。7月以降、賃金に反映する企業も少なくないため、7~9月期の消費を下支えする要因となる。
 前期比でGDP全体への影響度合いを示す寄与度は、個人消費などの内需がプラス0・9ポイント、輸出から輸入を差し引いた外需がマイナス0・1ポイントだった。