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脱炭素 分野別に協調 アジア枠組み 閣僚会合合意へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 インドネシアで21日に開かれる東南アジアなどとの脱炭素の連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」閣僚会合で、電力・運輸・産業の分野ごとの政策協調で合意する見通しとなったことが16日分かった。日本が技術開発や法整備を支援し、脱炭素市場の構築につなげるのが狙いで、共同声明をまとめる。これに併せて日本と各国の企業・機関も地熱発電や水素事業などに関し約30件の協力覚書を新たに結ぶ予定だ。
 AZECは岸田文雄首相が提唱し、ミャンマーを除く東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国と日本、オーストラリアの計11カ国で構成する。昨年12月に東京で初の首脳会議を開き、閣僚会合は今回が2回目。斎藤健経済産業相が共同議長として出席する。
 電力分野では火力発電で足並みをそろえる。ASEAN各国は日本と同様、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い火力発電の依存度が高い。脱炭素と経済成長両立に向け、水素やアンモニアを混ぜてCO2を減らす「現実的で着実な」手法を推進する。日本では今年5月、生産過程で排出するCO2が少ない水素と、CO2を地下に埋めて貯留する「CCS」の普及を図る2新法が成立。各国の法制化を後押しし、日本の技術を提供することでアジアの巨大市場を取り込む。
 CO2排出削減の対策を講じた石炭火力の継続を主張する日本にとっては、石炭火力の段階的廃止を求める声が大きい欧州諸国に対する「仲間づくり」の面もある。
 運輸は、航空機用再生燃料(SAF)のサプライチェーン(供給網)構築に向け工程表を作成する。産業では工業団地で使う電力を再生可能エネルギーに切り替える取り組みを加速させる考えだ。