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酷暑コスト、53兆円 ILO試算、対策呼びかけ


酷暑コスト、53兆円 ILO試算、対策呼びかけ 中国・上海で、帽子などで日よけをして歩く人々=1日(ロイター共同)
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 【ジュネーブ共同】酷暑が職場にもたらすコストは世界で約3610億ドル(約53兆円)に上るとの報告書を、国際労働機関(ILO)がまとめた。体調悪化などで失われる収入や治療費を試算した。各国の暑さ対策も比較し、日本については涼しい休憩場所の設置などが不十分だとみている。
 世界の平均気温は7月21、22日に連続で観測史上最高を記録。国連のグテレス事務総長が警告を発する事態となっている。ILOは安全対策などの改善で酷暑コストは減らせるとし、「労働者を守るための行動計画や法整備が必要だ」と呼びかけている。
 ILOは既に、世界で24億1千万人が酷暑の中で働いているとの推計を明らかにしている。7月下旬に公表した今回の報告書では、酷暑コストは所得の低い国では国内総生産(GDP)の1.5%に上るとの試算も示した。
 ILOはまた、21カ国の安全対策や法整備を比較。日本は水分補給や健康診断などで対策が取られている一方、涼しい休憩場所の設置や教育指導、個人の防護装備の項目で不十分と判断した。