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大企業56%「対応計画なし」 避難支障恐れ、作成急務 南海トラフ地震臨時情報


大企業56%「対応計画なし」 避難支障恐れ、作成急務 南海トラフ地震臨時情報 南海トラフ地震臨時情報を受けた主な企業の対応
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 気象庁による南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を巡り、共同通信が取材した主要54社の大企業のうち、56%が臨時情報が出た際の対応を計画していなかったことが17日分かった。大きな問題は表面化していないものの、専門家からは巨大地震が起きていれば迅速な避難や業務継続に支障が生じた可能性があるとの指摘も出ている。防災強化に向け、計画作成が急務となりそうだ。
 54社には13~15日に取材した。一部の企業は社名を報じないことを条件に応じた。
 事前に対応を決めていなかった企業は30社(56%)で、不明・その他が5社(9%)だった。
 対応を決めていた企業も19社(35%)あり、エネルギーや金融、交通機関といったインフラ関係で目立った。
 対応を決めていたENEOS(エネオス)は、臨時情報を受けて災害対策本部の設置の手順を確認。準備していたことで「関係者にすぐに周知できた」という。一部の路線で列車を減速させたJR東日本は「(対応を事前に決めていたことで)速やかな決定ができた」と説明した。
 その他の業種では、対応を決めていなかったのが大勢だ。「そもそも臨時情報自体を会社全体として把握していなかった」(素材)、「(計画に)何を盛り込むべきか基準が難しい」(小売り)という声が上がった。「普段から災害に備えており問題はない」(コンビニ)との意見もあった。
 事前計画の有無にかかわらず、ほぼ全社が臨時情報を受けて対策を講じた。従業員への注意喚起や顧客の避難誘導の確認、設備の点検などを進めた。
 巨大地震発生の可能性の上昇を示す臨時情報が出た場合、企業には顧客や従業員の安全確保、事業継続に向けた迅速な対応が欠かせない。
 企業にリスク情報を提供する東京海上ディーアールの深津嘉成上級主席研究員は臨時情報に対する備えの必要性を強調。「地震直後に適切に動けるよう組織を整備しておかなければならない。今回を機に改めて確認すべきだ」と話している。