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新規株式公開、上期で最多 60件、株高基調で資金流入


新規株式公開、上期で最多 60件、株高基調で資金流入 新規上場の上半期の件数推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 国内市場で新規株式公開(IPO)に踏み切る企業が増えている。2024年1~6月は比較可能な15年以降、上半期として過去最多の60件だった。株高基調で投資家から資金が集まりやすく、上場ハードルが比較的低い機関投資家などプロ向けの市場も活況だった。成長分野と期待される宇宙関連企業も登場。今後は地方や海外企業の取り込みが鍵を握りそうだ。
 日本取引所グループ(JPX)によると、東京証券取引所のグロース市場は、ディスカウントストア運営のトライアルホールディングス(HD、福岡市)などが上場し、23年から5件増の33件。プロ向け市場「TOKYO PRO Market」が9件増の23件、東証スタンダード市場が4件だった。IPOにこぎつけるにはJPXの審査を含め通常2~3年かかるが、新型コロナウイルス禍の収束で経済が回復し、上場に向けた環境が好転したことも増加の一因とみられる。
 今月急落する場面もあったが、バブル期以来の株高は追い風だ。日経平均株価は7月、終値で初めて4万2000円を突破。新たな少額投資非課税制度(NISA)が1月に始まり、個人も投資への関心が高まっている。
 業種別で見ると、24年上半期はグロース市場のIPOでは情報・通信業が最多の13社を占め、サービス業が11社だった。
 宇宙関連は23年に初めて、月面での資源開発を目指す「ispace」(アイスペース)と宇宙から撮影した画像販売を手がける「QPS研究所」がグロース市場に上場。24年にスペースデブリ(宇宙ごみ)の除去を図るアストロスケールホールディングスも続いた。
 地方企業の上場増加は課題だ。24年上半期は60社中、東京が38社を占めた。東証は、制度の仕組みや上場体験談を共有するプログラムを全国で実施。9月からは仙台市で開く。