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イデコ掛け金引き上げ 金融庁要望 税制大綱明記目指す


イデコ掛け金引き上げ 金融庁要望 税制大綱明記目指す イデコ拡充のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 金融庁が2025年度税制改正で、公的年金に上乗せできる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の拡充を要望することが20日、分かった。加入者が拠出する掛け金の全額を課税所得から差し引いて所得税を優遇する仕組みを維持した上で、掛け金の上限引き上げを求める。老後の資産形成を後押しする狙いがあり、政府、与党が年末に決定する税制改正大綱への明記を目指す。
 イデコは私的年金制度の一つで加入は任意。制度を運営する国民年金基金連合会によると、6月末時点で337万人が加入する。現在、掛け金の上限は個人事業主が月6万8千円、サラリーマンが月2万3千円。厚生労働省が掛け金の上限引き上げを検討していることを受け、金融庁は8月末に財務省に提出する税制改正要望に、税制面での対応策を盛り込む。
 ただ上限を大幅に引き上げると、お金に余裕があって、多くの掛け金を出せる人ほど税金面で得をすることになりかねない。政府、与党は「金持ち優遇」との批判は避けたい考えで、議論は曲折がありそうだ。
 金融庁はこのほか、「貯蓄から投資へ」の流れを加速するため、株式や投資信託の売却、配当で得た利益を非課税にする少額投資非課税制度(NISA)の手続き簡素化も要望する。
 現在は利用者が口座開設後に金融機関を変更する場合、株式や投資信託を購入できるようになるまで1~2週間かかるが、変更後すぐに購入できるようにする。
 NISAの口座数は3月末時点で約2300万。金融庁は買い時を逃さないで済むようになるとみている。
 iDeCo(イデコ) 個人型確定拠出年金を意味する英語「individual―type Defined Contribution pension plan」から名付けられた。20歳以上に加入が義務付けられている公的年金と異なり、加入は任意。個人が掛け金を拠出し、投資信託などの金融商品を選んで運用する。掛け金は税制優遇が受けられる。