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「緊張感持ち市場注視」 日銀総裁 利上げ方針は維持


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 日銀の植田和男総裁は23日午前、衆院財務金融委員会の閉会中審査に出席し、8月上旬の株価乱高下や円急伸を念頭に「金融市場は不安定な状況で、極めて高い緊張感を持って注視していく」との認識を表明した。市場が不安定な中での追加利上げに否定的な考えを示唆したものだ。
 ただ、物価上昇率などが日銀の想定通りなら「金融緩和の度合いを調整するという基本的な姿勢に変わりはない」と説明し、利上げを進めていく方針は維持した。
 自民党の中山展宏氏、公明党の中川宏昌氏への答弁。午後に出席した参院財政金融委員会の閉会中審査でも、立憲民主党の熊谷裕人氏らに対し「(株価や円相場の乱高下で)物価見通しにどういう影響があるかを丹念に見る」などと答弁。慎重な言い回しに終始した。
 衆参両院の閉会中審査には鈴木俊一財務相も出席した。日本経済が「デフレではない状況には至った」としつつ「まだ後戻りする可能性を否定できない」としてデフレ回帰への懸念をにじませた。外国為替相場は「急激に変化することは望ましくない」と語った。
 日銀は7月31日の金融政策決定会合で政策金利を0~0・1%程度から0・25%程度にすると決めた。植田氏は会合後の記者会見で年内の追加利上げの可能性を否定せず、市場では政策正常化に向けた動きが加速するとの見方が広がった。