損保情報漏えい２００万件超　大手４社、ずさん管理

　損害保険代理店による情報漏えい問題で、漏えいした損保大手４社の契約者情報が合計で２００万～３００万件規模に上る見通しとなったことが２７日、分かった。保険加入者の氏名や電話番号、契約の満期などが代理店を通じて競合他社に流出した。業界全体にずさんな情報管理が広がり、情報の一部が営業活動に使われた疑いも浮上。４社は週内に事実関係を金融庁に報告する。金融庁は報告内容を踏まえ、再発防止策を検討する。
　損保業界では昨年、中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求や企業保険のカルテルといった問題が相次いだ。再び業界にまたがる不祥事が発覚し、信頼回復の道は険しい。
　４社は東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。情報漏えいは、自動車ディーラーなど複数の損保の商品を取り扱う「乗合代理店」で発生した。損保から代理店に出向した社員が他の損保の契約情報を把握し、自社に漏らした悪質な事案も確認された。
　この情報で他社の販売動向を把握し、営業活動の参考にした可能性もある。損保ジャパンでは、出向者が少なくとも９代理店で、地方銀行を窓口に契約した火災保険の情報などを漏えいさせた。
　代理店の情報管理に問題があったケースも多い。代理店の本部は、保険が近く満期になる顧客に更新を働きかけるよう各販売拠点の担当者に定期的にメールを送る。その際、顧客情報が含まれたメールを、代理店と日常的にやりとりしていた損保各社の担当者にも一斉送信していた。
　損保は代理店を監督する必要があるが放置し、適切な指導を怠った。
　各社は５月に事実関係を公表した。情報を漏らした代理店数は当初、１社当たり１５１～２６８店としていたが、さらに増えるもようだ。金融庁は７月に報告徴求命令を出し、８月末までの報告を求めている。